ユニバーサルデザイン事例集

オンライン手続き 進捗ステップ表示 アクセシブル設計ポイント

Tags: アクセシビリティ, ユニバーサルデザイン, オンライン手続き, フォーム, WCAG

オンライン手続きにおける進捗表示のアクセシブル設計ポイント

ウェブサイト上で会員登録、商品購入、資料請求といった複数ステップにわたる手続きを行う際、利用者は多くの情報を入力したり、いくつかの確認を経たりする必要があります。この一連の流れの中で、利用者が「今、自分が全体のどの段階にいるのか」「あとどれくらいのステップで完了するのか」を把握できることは、サービスの使いやすさに大きく影響します。特に、アクセシビリティの観点からは、この「進捗状況の表示」が非常に重要となります。

本記事では、オンライン手続きにおける進捗表示をアクセシブルに設計するための具体的なポイントと、それが様々な利用者にとってどのようなメリットをもたらすのかについて解説いたします。

進捗表示が必要な理由:利用者視点のメリット

複数ステップのタスクにおいて進捗状況が明確に示されていることは、全ての利用者にとって有用ですが、特に以下のような方々にとっては、安心感と操作の容易さに大きく貢献します。

進捗表示は、単に見た目の装飾ではなく、利用者がタスクをスムーズに、自信を持って完了させるための重要なナビゲーション要素と言えます。

具体的な設計手法とアクセシビリティ対応

アクセシブルな進捗表示を実現するためには、いくつかの具体的な設計手法と技術的な配慮が必要です。

1. 明確なステップ表示

現在のステップが全体の何ステップ目であるか、そして各ステップがどのような内容であるかを明確に表示します。

2. 視覚的な進捗インジケーター(プログレスバー)

プログレスバーのような視覚的な要素は、現在の進捗度合いを直感的に把握するのに役立ちます。

3. スクリーンリーダーへの情報伝達

視覚的なプログレスバーやステップ表示の情報は、スクリーンリーダー利用者にも正確に伝わるようにマークアップする必要があります。WAI-ARIA属性を使用することが一般的です。

4. ナビゲーション機能との連携

進捗表示の各ステップが、前のステップに戻るためのリンクとして機能する場合もあります。

5. 中断からの復帰への配慮

手続きの途中で離脱した場合、次回アクセス時に進捗状況が保存されており、途中から再開できる機能は、アクセシビリティを高める上で非常に重要です。

設計上の考慮事項

まとめ:ユニバーサルデザインとしての進捗表示

オンライン手続きにおける進捗状況のアクセシブルな表示は、単に利便性を向上させるだけでなく、障害のある方や高齢の方を含む、より多くの人々がウェブサービスを利用できるようにするための重要なユニバーサルデザイン要素です。現在の位置や全体の流れを分かりやすく伝えることで、利用者の不安を軽減し、操作の迷いをなくし、タスク完了率を高める効果が期待できます。

技術的な対応(ARIA属性の利用など)は、あくまで情報を正確に伝えるための手段です。最も大切なのは、利用者が「今、自分がどこにいて、次は何をすれば良いのか」を直感的に、かつ安心して理解できるようなデザインと情報設計を行うことです。このような配慮が、真に情報のユニバーサル化を実現するウェブサイト構築に繋がります。